2007年5月22日 第5回

今日はとても良いコメントが多かったので, 皆さんのコメントに答えるようにしました.
  1. 僕は最近いろいろな知識をつけるために楽しく勉強しているのですが, やはり歴史を知らないと不利だと思いました.

    そうですね.常識として知っていると特をすることも多いです.

  2. 「決定論<->確率論」がいえることは大変興味深かったです. この証明は1年のときにやった離散数学がかかわってくるのでしょうか? 授業で紹介された参考文献をぜひ一度読んでみたいです.

    ごめんなさい.1年のときの離散数学でどのような内容をやったのか知らないので, 何とも答えられませんが,証明としては,数学的帰納法と背理法を使うようです.

  3. 決定論と確率論とをむすぶ時, 確率論では, 前の値に対していぞんしないのに, 決定論はいぞんしている. この点で, 結びつけていいものかよくわからなかった.

    そこが面白いんですよね.ところで依存という言葉ぐらいは漢字で書きましょう.

  4. 1と0の連続からロジスティック写像が得られるというのはピンとこない. 「x,y,zの3つの変数に対して, 2つの式からは1つに決まらない」イメージがあるので不思議だ.

    後半の文の意味がよく分からないので, 次回直接説明してください.

  5. カオスの特徴であるルールが決まっているのに予測できない. という意味がよくわかりませんでした. ルールが定まっているから未来全てを予想できるのがロジスティック写像ではないのですか??

  6. 決定論的が予測不能になるということのイメージがよく分かりませんでした.

    ここに答えが来る.

    確かに決定論的だからルールは定まっています.が, 初期値の観測誤差が徐々に拡大し,それが我々の目に見えるサイズにまで 発展するために,予測不能になるということです.

  7. ロジスティック写像の有用性が分かりやすい講義だった.

    それはよかった.具体的にどのような有用性があるか言えますか?

  8. 確率的な系列->決定的な系列とできるというのが面白く, 何故できるのかがとても気になった.

    確かにそうですね.面白いです.イメージとしては,初期値を指で持っておいて, その初期値を…………,次回説明します.

  9. 任意の1,0の系列を決定論的に実現できるというのに驚いた. その反面, 予測できないというのがよく分かりません. カオスは奥が深いですね.

    次回説明します.確かに奥は深いというのはその通りです.

  10. 自分のコンテンツを増やすためにも歴史は重要だと思います.

    そうしてください.

  11. 決定論的なロジスティック写像から確率論的なものを生成できると知った時も驚いたけど, 任意の記号列から見て相当するロジスティック写像が存在するのは驚いた.

    確かに驚きです.

  12. 高校での世界史は3(10段階評価で)で, 苦手な科目でした. 今日の講議を聞いてもう少し歴史も覚えていこうと思いました.

    講義のぎは「義」です.皆さんよく間違えますね…
    漢字も勉強しよう!

  13. どうも説明されてもイメージが出来ず納得しても理解しているか微妙です. しかし, 毎回具体例(今日は天気予報など)を出してくれるのでその時はとてもイメージしやすいです.

    イメージだけで追うことなしに,
    じっくりとゆっくりと内容を考えるようにしてみたら?

  14. 天気予報もカオスだとは思いませんでした. どのような証明か時間があったら参考資料を読んでみようと思います.

    時間があったらなどと言わず,ぜひ読んでください.

  15. 数学の世界の人をほとんど知らないことがわかった.

    たくさんの偉人が居て,現在の我々の文明がある訳です. そのことに感謝しつつ,過去の業績から多くを学びましょう.

  16. 決定論的でありながら確率論的な表現が行えるような矛盾を持つなんて, カオスは可能性にあふれているように感じます.

    「矛盾」というのが良いとはおもいませんが,考えている通りだと思います.
    そして,カオスには可能性が溢れており, これからもいろいろなことを考えることができる訳です.

  17. 確率論的なことから決定論的なことが表せるという一般的には考えられないようなことが成立することに驚いた.

    まずは,遅刻しないようにしましょう.

  18. 初めは決定論と確率論の対応を聞いて, また難しい証明やら数式やらが出てくるかと思っていた. しかし, 具体例を聞いてみて分かりやすく急に身近なものに感じた.

    まず,「難しい証明やら数式やら」というような姿勢を示すのは辞めましょう. 例えば,数式などが与えられたときにでも,自分で具体例を考えてみるようにしてみたら どづでしょう?

  19. 確率論的な系列<->決定論的な系列
    この関係が成立するのが本当にすごいと思いました. この事から確率論的な系列が完全に予測可能!?とも思いましたが, 初期値鋭敏依存性から長期的には予測不能なんですね.... カオスも甘くないなと思いました. あと雑談が面白かったです.

    なかなか鋭い意見だと思います.
    もしできたら確かに素晴らしい.ぜひ考えてみてください.

  20. 時系列が進むにつれて, ロジスティック写像の振るまいは, まったく予想できなくなるのですか? それでは, 決定論的と言えないのではないでしょうか?

    まず,「予想」と「予測」という言葉の違いについて認識をしてください.
    講義では一切予想という言葉は用いていません.
    予想という言葉は競馬のような場合に用いますが,学術的な場合は, 予測(あるいは予知)を用います.
    さてロジスティック写像についてですが,決定論です.しかし予測できない.
    もう一度考えてみてください.

  21. カオスについて, 今回の講義で重要な分野であると思った. 研究するならば, このような学問は楽しいだろうなと思う.

    その通りです.とても充用で,そして楽しい分野です.

  22. コイントスで, 0<=x_{t}<=0.5 -> 表, 0.5<=x_{t}<=1 -> 裏, のように 0.5を境にすることで決定論->確率論への対応はよく分かったのですが, もしx_{t}=0.5になったときはどうなるのでしょうか? どっちでもいいということでいいのでしょうか?

    どちらかにすることで対応しましょう.

  23. 確率論的(0,1のビット列)な系列をカオスで表わすことによって, データの圧縮に使えそうだなと思いました.

    そうですね.その考えは合っていますが,ただ一つ問題点があるのですが, それは何だか分かりますか?

  24. N沢さんがやっていらっしゃるような, データの予測, 圧縮の研究は, 大学だけでなく企業等でももっとやるべきなのではないかと思いました.

    大丈夫,心配しなくても,大学だけでなく企業でもやっています.

  25. カオスは普通に考えると不思議なことが多くあり, 確かに面白い分野だと思いました.

    その通りです.不思議なことがたくさんある,だから面白いのですね.

  26. 微妙な誤差でも長期的に大きな変化をもたらすのはすごいと思った.

    素晴らしい.今日は実はこのような表現では話をしませんでしたが,
    良いところに気づいています.次回お話をします.

  27. カオスが決定論的であるのに, 確率論的な現象を実現できるという所に僕個人的に面白みを感じました. カオスが一番面白いという事がまた少し理解できました.

    面白いでしょう.まだまだ面白い内容が続きます.

  28. 先生のおっしゃる通り歴史と英語を勉強しようと思います.

    歴史と英語ではなくて, 歴史と国語(日本語)です.

  29. 池口先生の歴史も気になりました.

    僕の歴史は対したものではありません.

  30. フォン・ノイマンがどういった人かは知りませんでしたが, 今から60年も前にカオスのことを記していたなんておどろきでした.

    そうですね.既にこのような内容に気づいていのが素晴らしい.

  31. ルールが定まっているのに予測不能であることが不思議だと思った.

    不思議なのですが,今日の説明でも分かるように,決定論なのに予測が出来なくなるのです.

  32. 今日の講義を聞いてコンピュータの歴史についても知るべきだと思った.

    そうですね.出来れば知っておいた方が良いでしょう.

  33. カオスは予測できないところがやってみたいとわからないところが, 研究心をあおると思った.

    今日紹介した初期値鋭敏依存性は, 観測精度誤差に基づくものです. 実は,やってみないとわからないような力学系も存在します.

  34. 今まで決定論と確率論は真逆なものだと思っていたけど, このような対応があったとは以外だったし, とても面白いことのような気がしました.

    確かに相対する概念ですが,それらをつなぐ橋であることを今日紹介しました.

  35. ロジスティック写像より得られる決定論的な系列と確率論的(非決定論的)な系列との対応というのは 1対1の対応ですか?

    そうです.ただし,今日講義で紹介した変換は入っています.

  36. 10^{-8}というとても微小な誤差でも, 少したつと振る舞いが変わってくる. カオスは, 天気予報や台風にまで応用(?)されてることを聞いて, すごく興味を持ちました.

    素晴らしいですね.よく分かっていると思います.

  37. カオスはいい!おもしろい! と毎週言われているので徐々に池口研究室に興味を持ちはじめました.

    うちの研究室に興味を持つ必要は無いです. いろいろなことに興味を持ちましょう.

  38. 池口先生は人間関係において3の経験はあるんですか?

    ウーム,この質問の答えですが…  次回の講義で話をします.

  39. カオスの特徴で「予測不能」の部分がよくわかりません. 決定的なのに「予測」する必要があるのですか?

    決定論的であっても予測不能な領域は存在します. 初期誤差が徐々に発現し,我々が観測できるレベルにまでなるわけです. そうすると当然予測したくなりますよね.

  40. 初期値鋭敏依存性から長期的な予測は不可能だそうですが, ここまでなら予測できるという法則みたいなものは存在するのでしょうか?

    素晴らしいコメントですね.予測ということに関してよく考えていると思います. というか直感的に分かっているのかな? リアプノフ指数という特徴量がありますが,まさにそれです.

  41. 冒頭の麻疹・水疱瘡の時列系のグラフから 何にでも法則性があるのだと感じることができました.

    そうですね.何かしらの法則性はあると思います.
    ただし,それをうまく抽出できるかどうかがまた難しい訳ですね.

  42. 雑談がおもしろかったし少しためになった.

    少しだけ?

  43. 決定論と確率論は普通に考えれば対立的な関係にあるのに, カオスはその関係を打ち破る可能性があるのは, 非常に奥深く, 確かに面白いものだと思った.

    打ち破る可能性があります.そしてこれに関連して,次回, カオスのもう一つ重要な特徴をお話しします.

  44. 非線形に対する思い入れが伝わってくるような気がしました.

    そうですか.それであれば,この授業をやった甲斐があるというものです.

  45. 決定論と確率論のかきねを破壊するカオスのスケールの大きさに感動しました. この講義を聞いていると, 他の情報の分野が小さく感じます.

    確かにスケールは大きいですね.他の分野が小さいとまでは言いませんが.

  46. 先生は「清少納言は...」の様な質問を受けたことがあるのですか?

    いえ,このタイプのつまり日本の文学に対する質問はまだないです. でも,例えば,経済について等の質問や政治に関する質問はされたことがあります.

  47. 決定論と確率論が対応づけられることには驚きましたが, この対応づけを説明するには0〜1の実数が無限に存在するということを言う必要があると思いました. 他にもいろいろなところで「無限」が絡人できそうなので, 「無限」を少し勉強しておきたいです.

    確かに無限ですね.少しと言わずドンドン勉強してください.

  48. 対応するロジスティック写像の初期値を求めることは非常に困難なのだろうなと思いました.

    素晴らしいコメント!今日は存在については証明できる話はしましたが, それをどのように見つけるかとうことについては触れませんでした.

  49. 非線形は奥が深いと思いました.

    奥が深いですよ〜なんと言っても無限次元空間ですから.

  50. 天気予報もカオスであるなんて実は身近なところでも使われているんだなと思いました. ギャンブルにもカオスが使えそうですね.

    これも素晴らしいコメントですね. 実をいうとギャンブルの予測に使おうとした人がいるということです.

  51. 歴史や自分の専門の事以外の様々な分野について知るのは意外な所で役立つかもしれないという点で重要だと思った.

    その通りです.役立ちますよ.必ず.なので,いろいろな話を聞くようにしてください.

  52. 今日は非線形の内容もそうですが, 特に進路的な面でとても参考になりました. 将来, 非線形をやるのもいいかもと思いました.

    進路について言えることは,大学院に進学しましょう,ということです. 将来,非線形をやる,やらないに間家無くですが.

  53. SARSとテロで修学旅行が中国->沖縄に...久しぶりに思い出しました.

    SARSとテロがあり,いくつかの学会がキャンセルになったりしましたが, …気にせずに参加していました.僕も久しぶりに思い出しましたね.

  54. ティコ・ブラーエは奥田瑛二(?)に似てる.

    そうでしょうか…

  55. 感想として, 授業はあまり進まなかったが, 為になる話を聞けて歴史を意識しながら勉強しようと思った.

    確かに余計な話をしてしまいました.今日は脱線しすぎましたね.

  56. 決定論と確率論に関わりがある事に驚いた. 非線形の良さはわかったが何に使えて, どういった職業につけるのかがわからない.

    例えば,今日紹介した天気予報の話等はその一例ですが, その他にもたくさんあります.最終回の頃にまとめて紹介します. 非線形だけでなく,学生のころやった内容に直接結びつく仕事につけるとは限らないので, 要注意.